鐘崎と藤城清治氏の関係

鐘崎では、企業理念である「おいしさ、楽しく」を伝え、自然の恵みに感謝するために1990年に新しい文化の発信地として「鐘崎かまばこの国 笹かま館」を開設しております。

「世界や次世代に新しい文化を発信したい」

そんな鐘崎の想いを表現したサロンを作ることとなり、作品を提供いただいたのが藤城清治氏でした。影絵による幻想的な作品で海の偉大さ・やさしさを表現してもらうため、サロンの目玉として横15mの海をテーマにした影絵の大壁画の制作をお願いしました。

サロン開設までのエピソード 1989年
メルヘンサロン
影絵作家 藤城清治
横15mの巨大影絵に挑む

横15mという壁画はもちろん、ぼくも初めてのことです。つくるなら50年、100年、200年と後世まで残るような価値のある作品を作りたいと思ったのです。それには、目先の面白さや物珍しさ、動きの仕掛けなどにあまりとらわれない方がいい、そして、壁画として自分の最高の記念碑的作品をつくりあげたかったのです。ぼくのこういった提案をすぐ受入れてくれて、何の注文もつけず、任せてくれたことを非常に感謝しています。

これだけ大きなプロジェクトを組んで進行している仕事にもかかわらず、この影絵に関してはほとんどぼくに一任してくれました。ふつうはどんな下絵か見せて欲しいといわれるものですけれど、そんなことも一度もいわれませんでした。それだけに、ぼくは自分の思うままに全力投球することができました。

スタッフ一丸、生命をかける気迫で製作

メルヘンサロン一番重要なことは、単に作業員が分担してきれいごとにつくりあげたというものではない、一人の人間を中心に生命をかけてつくったという人間の生々しい気迫、あるいは毒気こそ大事だと思ったんです。スタッフは7名で、15日間で仕上げるスケジュールを組みました。この大画面に、魚だけでも全部で約2300匹になりました。この2300匹はもちろん、網の目のように細かい珊瑚や藻も、すべて輪郭は自分一人で切り抜きました。

スタッフたちには、魚の陰影のグラデーションや色貼りをしてもらいました。このグラデーションも全部の魚につけたので、大変な作業です。それでもみんなは、毎日夜12時頃には切りあげてホテルへ帰して寝させましたが、ぼくは一人現場に残って徹夜で切り抜いていきました。ぼくは15日間でホテルに帰って寝たのは、最初の一日目と最後の一日だけでした。スタッフがあまりにも顔も手も真黒できたないというので、途中、昼間に一回だけ帰ってシャワーをあびました。ぼくは2300匹すべての魚に、一匹一匹生命を吹き込んで、祈りをこめて切り抜いたつもりです。

大作に打ちこめる喜びに感涙

ぼくは毎日徹夜で一人で切りながら、なぜか涙がながれてきました。大変だからではありません。自分でもよくわかりませんが、自分の全身で感動して涙がボロボロとながれてきました。この大作に打ちこめる喜びに感激しての涙といってもいいかも知れません。誰も見ていなかったので、思い切り泣きました。

完成披露とにかく、作品は完成しました。ぼくの今日のすべての力を投入した作品だと自負しています。仙台へお出かけの折はぜひ、このミュージアムへ寄っていただきたいと思います。用がなくても、これを見るだけでも、損にはならない作品になったとおもっています。

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